メンバー寄稿(富田朝人)
タクシードライバ―を通じた障害者の社会貢献のあり方
タクシーは公共交通機関であり、お客様の生命を預かる責任重大な業務です。そのため健康で五体満足な者が求められますが、運転業務に支障がなければ障害者も就業することは可能です。
障害を持ったドライバーは健常者ドライバーと比較して、サービス上どうしても難しいことはあります。そのような場合においてもお客様に丁寧に説明すれば殆どトラブルになることはありません。運転時、或はドアサービスやトランクサービスを行なった際に障害者であることが明らかになり、お客様が不安に思われる場合もあります。この場合に於いても運転には支障がない旨を説明し、運転や接客にて健常者ドライバーと同様の業務を遂行すればご理解は頂けると思います。
障害のあるタクシードライバーは、自身が障害者であるため、たとえ異なる障害があるお客様がご乗車になっても寄り添うことは可能であると思います。
また昨今の高齢化社会において、高齢のお客様のご利用についても障害があるお客様同様に優しい対応が出来ると思います。
以上の観点から障害があるタクシードライバーは、自身の経験も含めて障害があるお客様に寄り添い、また障害者タクシードライバーの視点から気付いた点を健常者ドライバーや会社への問題等を提起することにより、タクシーサービスがより良くなっていくのではないかと思います。このようなことが障害者側から社会貢献につながるのではないかと思います。
2018年4月
乗客としてお迎えする障害者への対応
タクシーは他の公共交通機関とは異なり、お客様が出発される場所からご希望の場所までお送りできる移動手段です。そのため障害がある方のご利用も多くあります。
障害の状態もお客様により異なりますので健常者以上にコミュニケーションが大切になると思います。
乗車時においては、特に下肢障害で車いすをご利用のお客様、視覚障害のお客様は路上での申込(流し)であっても下車してお客様のところへ行き、乗車前からのコミュニケーションが必要です。特に視覚障害の方の場合はタクシーが停車したのがお分かりにならない場合がありますので、タクシーである旨をお伝えした上でご乗車の意思を確認します。ご乗車になる際も着席されるまで天井とドアとシートの位置等の位置の説明が必要です。
ご乗車後、目的地、経路等をお尋ねした後、走行中の状況説明の必要の有無をお伺いします。視覚障害の方でも全盲の方と弱視の方では状況が異なりますが、こちらから障害の状況をお尋ねすることは出来ません。その上で状況説明の依頼があれば走行中の右、左折や赤信号での停止、現在地の説明等、必要な範囲でお知らせします。停車、発進等の説明は事故防止にも繋がります。
降車時もお客様側でのサポートが必要です。足下の段差、周囲の道路状況等、可能な限り状況説明をし、点字ブロックまでお連れしたりします。
車いすをご利用のお客様の場合は、ご自身で車内へ移動可能なお客様と、全て介助が必要なお客様がいらっしゃいますので、細心の注意を払ってコミュニケーションをとることが大切ではないかと思います。
聴覚障害のお客様の場合はご乗車されるときは判断が難しいので、対応するためにメモを手元に常備したり、地図を示したり、手話を使う等、言葉以外で可能な限りコミュニケーションをとります。走行中には難しい場合がある為、特に出発前の念入りな確認が必要ではないかと思います。
その他内部障害のあるお客様もいらっしゃいます。大切な事は障害を外見だけで判断せず、お客様が乗車から降車までどのようなサービスを求めているのか、どの程度までのサービスを必要とされているかと言うことではないかと思います。一人一人異なるため答えはありませんが、その都度コミュニケーションをどのようにとるかによって、お客様の満足感にお応えできるものではないかと思います。
2018年4月