タクシー総車両数 233,470台(平成30年3月末現在)
タクシーの台数は需要と供給のバランスにより適正数が算出され、全国に233,470台(平成30年3月末現在)のタクシーがあり、タクシー会社の都合で勝手に増車も減車もできない決まりです。
なぜなら、タクシーサービスは「利用したいとき直ぐに提供される」必要があり、要求(需要)を満たすだけの車両数がないと、「今は忙しい(品切れだ)から明日乗ってください(お届けします)」では済まされない商品で、少なすぎると供給不足を生じる、これが一つ目の理由です。
Amazonプライム お急ぎ便どころではない、即時性(今すぐ!)が求められますが、かといって闇雲に数を増やせば街中に空車タクシーがあふれ、しいては交通渋滞を引き起こすだけでなく、資源である燃料ガスの消費やCo2など排気ガスによる地球環境への負荷も大きくなる、これが二つ目の理由で相反する要求のバランスが大切す。
それでは、実数の推移を確認してみましょう。
従前からタクシー車両の増減車には規制がかかって一定台数に落ち着いていましたが、グラフを見れば一目瞭然!平成14年2月の新規参入・増車規制緩和[1] により事業者数・車両数ともに一気に増加しました。ニーズが増えていないのに車両数だけが増えたのだから当然供給過剰状態になり、すぐに乗れる要求は満たされましたが、タクシードライバー視点では「お客様に巡り合う機会が減って収入が激減」、これでは仕事として成り立たなくなってしまいます。
そこで、解決のために「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法[2]」が施行され、事業者に台数を減らす事実上の義務付けがされました。供給過剰状態の是正は少しずつ進み、現在の台数は減少傾向にありますが、それでもなお都市部を中心に日本中多くの地域で供給過多の状態が続いていると分析されています。問題解決のために、サービスの活性化、事業経営の効率化などと合わせて取り組んでいるのが現状です。
POINT
- タクシー業界は車両数を減らす努力で供給過剰を解消しようとしている
[1] 【平成14年2月の新規参入・増車規制緩和】数量(事業者数・車両数)規制が廃止され、認可制から事前届け出制、最低保持台数が60台必要であったところ10台に、営業所および車庫は自社所有からリースでも可能に、導入車両は新車に限らず中古車でも可と、参入条件が大幅に緩和されたことで新規参入や増車が相次ぎ、短期間に6,087台ものタクシーが増加する結果を招いた。
当時の政権が“都市交通政策”の重要性を理解せずに、市場経済における競争原理を強引に持ち込んだことで1台当たりの売り上げが低下し、乗務員の賃金減少や交通混乱を引き起こした失策。
[2] 【特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法】規制緩和の失政にやっと気付いたのか、平成21年10月施行のタクシー適正化・活性法により再び規制強化が図られた。
原則として、新規参入は許可制、増車は届出制であるが、特に供給過多が顕著であると認められる地域を特定地域と定め、新規参入・増車ともに禁止とされている。東京を含む供給過剰の恐れがある地域と認定された準特定地域では、増車について認可制となっているのが状況である。
業界の自主的な減車も進められ台数は減少傾向にあるが、それでも適正とされる台数には届かず、供給過多の状態が続いている。
タクシー総車両数の推移
総車両数 | 内 訳 | |||
---|---|---|---|---|
法人タクシー | 福祉輸送限定[3] | 個人タクシー | ||
H.30年 | 233,470台 | 186,247 | 13,662 | 33,561 |
H.29年 | 237,348台 | 188,792 | 13,406 | 35,150 |
H.28年 | 239,163台 | 190,127 | 13,153 | 35,883 |
H.27年 | 241,062台 | 191,363 | 12,737 | 36,962 |
総車両数 | 内 訳 | |||
---|---|---|---|---|
法人タクシー | 福祉輸送限定[3] | 個人タクシー | ||
H.30年 | 45,016台 | 30,813 | 1,329 | 12,874 |
H.29年 | 45,926台 | 30,848 | 1,290 | 13,788 |
H.28年 | 46,127台 | 30,911 | 1,279 | 13,937 |
H.27年 | 46,558台 | 30,907 | 1,221 | 14,430 |
[3] 【福祉輸送限定】運送の引受を営業所のみ(流し営業や付け待ち営業は不可)で行い、身体障害者、要介護者、要支援者、その他単独で公共交通機関を利用することが難しい方に、お客様を限定した予約制タクシー。1BOX車にリフトやスロープが付いた福祉タクシー・介護タクシーなどで、車内に運賃メーターはあるが、街中で呼び止めることはできないので「あんどん」や「スーパーサイン」など、タクシーと分かる外装設備は付いていないことが多い。乗務するには二種免許が必要だが、特定のお客様のみ扱うのでセンター登録は必要ない。運行時間に決まりはないが、現実は早朝深夜などの利用は困難である。
なお、旅客を限定しているので、荷物がたくさん載る理由で健常者利用することは認めらず、ユニバーサルデザインタクシーとは考え方が違うバリアフリーに特化したタクシー。
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