区域外営業の柔軟化?

タクシーには営業できる区域が決められていて、私たちの営業所は杉並区にあるので「東京特別区・武三地区」が営業区域となっています。
つまり、東京23区と武蔵野市三鷹市のいずれかに少なくとも発着点のどちらか1つがないと、区域外営業となり処罰の対象です。

この決まりは、お客様の多い地域にタクシーを集中させずに、人口減少や少子高齢化が進む地域にもタクシーサービスを維持・確保するための規制だと思っています。
働く側からは、東京を拠点に営業したければ東京のタクシー会社に就職すればよいし、地域の皆さんのためなどその他の理由を優先するなら、その地域に所在するタクシー会社で働く選択もあります。

これを前提になんですが・・・、
先日、規制改革推進会議が会合を開いて「タクシーの利便性向上」として安倍首相に次のような答申を示したということです。

具体的実施項目として、ちょっと長いですが書きます。
「地域の交通手段を持続的に確保するため、国交省は、事業者の営業区域外運送の柔軟化に取り組む等、より多くの利用者が利便性の高いタクシーサービスを享受できる環境整備に向けた施策を推進するとともに、公共交通の供給が困難な地域において行う交通事業者が協力する自家用有償旅客運送制度について、その実効性を高めるため、導入を希望する地域において関係者間の協議が円滑に進むよう環境整備を図ること等を通じ、着実に制度を運用すること」を提示したようです。

20年度中に検討を進め、結論を得て措置することを定めたそうですが、いかがなもんでしょう?
本当にこれが上手くいくと思っているんですかねぇ?

たまたま地域外までの利用があったタクシーが、そこで引き続き営業するならまだ分かりますが、わざわざ数10キロを回送して燃料の無駄遣いしても、それは無視ですか?
じゃあ、そのような回送はダメよ! としても、自分の行きたい地域があれば、何らかの手段で突破するのは容易いことですからね。

過去には、新規参入の規制緩和で需要に対するタクシー台数が多くなりすぎ、タクシー業界は危機を経験しています。
再びそんなことにならないことを、タクシー業界に身を置く者として強く願います。
ズタズタにしておいて、知らん顔はなしですからね、規制改革推進会議さん。