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負のイメージに隠された真実

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タクシーの仕事の本質を解き明かします

負のイメージが大きいタクシードライバーの仕事

タクシーの仕事は3K(「きつい (Kitsui) 」「危険 (Kiken) 」「給料が安い(Kyuuryou)」)の代表のようにいう人がいます。
そう考える原因は、公共交通機関で唯一24時間/365日営業しているタクシーの仕事に、

  1. (深夜でも走っているので)ブラックな残業が山盛り
  2. (365日動いているから)休みが取れない
  3. (他業種より労働時間が長く年収が低いデータからも)キツイ割に給料が安い
  4.  職種自体を見下される

など、マイナスイメージが付きまとうからでしょう。しかし、業界の仕組みを知らないことによる思い違いの影響も大きく、ここに実態を解き明かします。なお、会社との独自の協定による部分もあるので、全てのタクシーに該当するとは限りません。

1. 法定外の残業はできない仕組み

バブル期のイメージ
バブル景気の時代(1980年代後半から1990年代初頭)

バブル景気の時代、地価は高騰し日本中が好景気に沸いていました。給料はドンドン上がるし接待費もバンバン使えた時代、個別輸送であるタクシーの運賃が高くても、乗りたい人が街中にあふれました。対してその需要を満たすには台数が足りず、需要供給のバランスが崩れた状況で、タクシーは走りさえすれば荒稼ぎできた正にバブル期です。
当時も労働時間の決まりはありましたが、このような背景では乗務員は(稼げるから)帰庫せず勝手に残業する、会社も決められた時間で帰庫しても、売り上げが悪ければ「もう一度仕事してこい!」の勢いで、お尻をたたいていたある意味パラダイスの時代です。

しかし、このようなことをしていれば過重労働による居眠り運転など、大きな事故を引き起こす弊害が起こって当然です。人の命を預かり輸送する公共交通として、この状況がいつまでも続けられることはありませんでした。

今では、1乗務あたりの労働時間や拘束時間の上限が決められ、月間の乗務時間にも厳しい決まりがあり、運行記録計(タコグラフ)とアルコールチェッカーから出力される時間による、客観的な情報で管理されています。たとえ1分1秒でも帰庫が遅れると報告書や始末書の提出が求められますが、これをものともせずに「始末書くらい何枚でも書いてやる!」の勢いで残業して稼ごうとすると、クルマが配車されない痛い仕打ちがきます。つまり法定外の残業は、したくてもできない仕組みで、ブラックなサービス残業とは無縁の仕事なのです。

こんな話もあります。

前職では、朝早く家を出て終電で帰る生活で、子どもの寝顔しか見たことがなかった。しかし、タクシードライバーに転職してからは、2日に一度は朝に家にいて、子どもと一緒に朝食を食べてから学校に送り出せるようになった。仮眠をとった後は、妻とショッピングにでかけるなど、他の仕事ではありえない家族との充実した時間を過ごせるようになった。

どうです? 残業が出来ないことと隔日勤務という勤務形態により実現した実話です。

2. 労働日数が選択できる。

隔日勤務の規定は11乗務で、1乗務で2日分働くので日数に直すと22日が勤務日です(12乗務が規定の会社もあります)。ということは…、31日ある大の月なら残りの9日が休日なので、一般的な週休2日制と同じ休日数です。そして、ここからがタクシーの面白いところでメリットす。

世の中にはいろいろな人がいます。

  1. 休日はいらないから、とにかく収入をupしたい人
  2. 収入よりも休日を優先する人
  3. 休日も収入もそこそこで良い人
  4. 休日が多くて収入もたくさんほしい人
  5. 休日はいらないし収入も少なくて良い人

(5)の人はまずいないでしょう。(4)は大きな危険を伴うなど特殊な状況の仕事なら希望にこたえられるかもしれませんが、一般には無理な話でしょう。しかし、(1)(2)(3)の希望はタクシーなら実現できます。

(1) とにかく稼ぎたい人には

原則として11乗務/1ヶ月ですが、月間の労働時間の上限にはまだ余裕があります。ならば上限いっぱいまで働こうということで、プラス1乗務すれば1公出(公休出勤)の扱いとなり、条件によって13乗務できる月には2公出とカウントされます(但し、月間の時間規制があるので最大労働時間内に調整する必要あり)。公出した分の給与計算は、一番営収の良かった日が割り当てたうえで割増の手当がつくので、給料がグンとupします。
休日よりも収入を優先する働き方の選択は自己判断ですが、5日に1日は休日は必ず守らなくてはならず、これ以上出勤することは認められません。

もっと稼ぎたい人には、

夜日勤(通称:Night)とは、労働時間の上限は変わりませんが、毎日夜間だけの勤務をする働き方です。深夜2割増しの時間帯に、長距離を乗車するお客様を狙い、営収が上がった分に加え深夜手当が含まれるので、稼ぐという意味では最も適しています。ただし、昼夜逆転の生活に適応できることが条件です。

(2) 休日を優先する人には

高収入を求めなければ、労働日数を減らすことができます。一般にいう歩率も下がりますが、10乗務・9乗務・8乗務~それ以下でも構いません。例えば、体調がすぐれない時期に「来月は4乗務にしてもらいたい」と申し出れば受理されるし、「11乗務に戻す」ことも、働く人の事情に合わせることができます。
毎月のように「来月は…」と変更を繰り返すようでは会社も困るでしょうが、原則として労働日数の選択は労働者側にあります。自分の時間を優先したり、休日は必要だが全く収入がないのも困るという場合にも柔軟に対応できます。
なお、労働日数を減らしても月間4乗務以上(1乗務/1週)すれば、短時間労働のパート(定時制)扱いになることはなく、社会保険に加入することができます。

(3) 休日と収入のバランスを優先する人には

標準的な11乗務して週休2日で勤務します。ワーク・ライフ・バランスという言葉があり、ワークが「収入」を、ライフが「休日」を表すとすれば、最もバランスの取れた働き方です。
バランスは人によって求めるポイントが違うでしょうが、11乗務を原則として増やしても減らしても対応できます。


いかがでしょうか。「休日を惜しんで働く」こともできるし、その反対に「休日を増やす」こともできるのが自由度の高いタクシーの勤務です。人により考え方の違いがあっても、収入が少なければ私生活の充実は望めず、私生活が充実しなければ働く意欲も低下するのは当然です。365日たえまなく街中を走るタクシーは、いろいろな働き方が選べますが法定日数を越えて働くことはできず、休みはしっかりと確保されているので、「休みが取れない」というのは思い違いです。

休日について、もう一つ付け加えるのなら、

営業の仕事をしていると、休日にお得意様から携帯に電話がかかってきて対応しなくてはならない、ということが起こります。しかし、タクシーの場合は万が一電話が入って「○○まで送ってほしい」と頼まれたとしても、乗務中でなければタクシーに乗っていないので対応しようがありません。

仕事と休日のケジメがハッキリしているのもこの仕事ならではの特徴でしょう。

3. 平均給与が低い理由があった

タクシー年間賃金水準(TAXI TODAY in japan 2019より引用)
タクシー年間賃金推移表

平均を引き下げる理由は、主に3つあります。

高年齢と労働日数

タクシー業界の平均年齢は60.1歳(平成30年 厚生労働省 賃金構造基本統計調査)で、街を走るタクシーに高齢ドライバーが多く働いていることからも見てとれます。
これは、年金を受給しながら労働日数を減らして働いている人が多く含まれているということで、1ヶ月の半分しか働かないなど、労働日数を制限すれば収入が下がるのは当然の結果で、これが平均収入を大きく下げる結果を招く原因の一つです。

地域の特性

地方でタクシーに乗車するには、駅前に並ぶタクシーに乗車するか電話して呼ぶことになります。観光客の多い地域だとしても、駅前で特急列車の到着を長時間待って、やっと巡り合ったお客様に乗車いただく営業では、営業収入は頭打ちです。東京でも都心部を離れ郊外に行くとその傾向が強まり、駅付け営業が主体になります。
ところが、東京の中心部では街を走り回っているタクシーを呼び止める利用方法が主流で、タクシーを利用する方の数が圧倒的に多く、1乗務当たりの営業収入に数万円の差が生じることは珍しくありません。当然のように、東京特別区とそれ以外で営業するタクシーに収入の差が生まれるのですが、タクシー営業において客数が多いということは、決定的なアドバンテージなのです。

自己管理の仕事だということ

販売店や飲食店、事務職など、どんな仕事でも勤務時間内に居眠りしていれば上司からお叱りを受けることになります。ところがタクシーでは、「チョット仮眠のつもりがウッカリ寝込んでしまった!」など不測の事態が起こったり、初めから拘束時間の上限まで働くのではなく、計画的に休憩時間を長くとって給与を調整する人がいます。それでも最低賃金分の給料はいただけるので、初めからそれで十分という人もいます。(最低賃金に満たない場合の補填分は、他の人の給料になるべき部分から支払われるので好ましくなく、指導も受けるし何か月も続くようなら肩をたたかれることもあるでしょうが…)。
労働時間が他業種よりも長いデータも公表されていますが、拘束されている時間=労働時間として集計されているとすれば、当然の結果です。駅付けでお客様を待っているのも拘束された労働時間だと言いたい気持ちも分かるし、出庫から帰庫までの間は定められた3時間の休憩時間以外を労働している時間とするのも分かりますが、実情は鼻提灯だったとしてもデータには反映されないものだと思うのです。


このように、複数の要因が絡み合って平均給与を引き下げています。圧倒的にお客様の数が多い東京で、サボることなくコツコツとやれば月収30万円を切ることはあり得ず、40万円以上も決して難しいことではありません。労働時間や労働日数の制限を厳しく守らなくてはならない現在では、バブリーな時代のような高収入は望めませんが、東京のタクシーならば他業種なみの収入を得ることは可能です。
そして、年齢も性別も、障害の有無もかかわりなく、入社(転職)1年目からトップドライバーとなることも夢ではありません。(難しいけど…)

4. 見下されてはいるが少しずつイメージが変わりつつある

バス運転士の写真

同じ運転の仕事でもバス運転士はイメージが良く、タクシー運転手となるとクズみたいに扱われる風潮があり、残念なところです。
ど~でもいい話ではありますが…、バスは運転と表し、「帯刀したサムライのごとく、大きな車で大人数を輸送するプロのとしての自覚を持て」と教わります。対するタクシーは運転と呼ぶのが一般的で、初めは大型二種が必要なバスと普通二種のタクシーでは、運転免許の差から仕方ないのかとも考えていたのですが、今ではこの考え方に異論があります。
バスは安全運転に専念する真のサムライかもしれませんがタクシーには同時に接客が求められ、運転の専業ではないという意味で士ではないかもしれません。しかし、乗車された少人数のお客様を、時には面白い話で和ませたり、寝ていたい方はに静かな空間を提供したり、ドアサービスやトランクサービスでホテルのベルマンのようなサービスを提供したりしながら、快適に目的地にお送りします。移動以外に付加価値を付けるサービスは、タクシー運転が提供する、最も難しく重要なサービスだと考えます。野球選や歌だって[手]、プライドを持って取り組む究極の接客業という思いが強くなりました。

その昔、タクシー運転手になると一財産が築けるという時代には人気職種でしたが、その後景気が良くなると他業種の人気が上昇したことで暴落し、会社は乗務員を確保してタクシーを稼働させるために多少品行が悪い人でも採用するようになり、荒れた時代がおとずれます。「客を積む」「乗せてやる」といった横柄な態度で、単価が安ければ乗車拒否するなど、やりたい放題の運転手たちが現れ、この時のイメージが定着して今に至るのでしょう。なんとしてもタクシーを利用したいお客様は、1万円札を振りかざしてでも乗った時代ですから、思い上がっても仕方なく、周囲の環境がそうさせたともいえます。

しかし最近様子が少しずつ変わってきました。タクシーは快適な移動を提供する究極のサービス業としてイメージを変えつつあり、4年制大学を卒業した人が、初めての仕事としてタクシーを選ぶ時代になってきたのです。
ロンドンタクシーのドライバーは尊敬される人気の仕事だと聞きます、日本のタクシーが同レベルになるにはこれまでの悪いイメージを払拭する必要がありますが、少しずつですが前進していると感じています。


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