勉強会を開催しました

10月13日(土曜日)に、宮園身障二種免協会主催の勉強会が開催されましました。
テーマは、「JPN TAXIの車イス乗車について」、身体に障害のあるドライバーにとって、一番難しい問題のひとつです。

スロープ乗車の実技で説明を真剣に聞き入るメンバーの写真
乗降時の注意点に聞き入るメンバー

私たち身障タクシードライバーが、車イスユーザーをスロープを押し上げて乗車する介助は、できる人もいる半面、 身体状況により不可能な場合は他のタクシーを手配するしかありません。
しかし、そのような場合でも乗車介助の方法を全く知らないのでは、自分たちの障害を理由に乗車拒否をしていることにもなりかねないと思うのです。
それは私達の本意ではなく、今回の勉強会は車いす乗車の申込があったことを想定して、実技(手順)を学ぶことが今回の勉強会の目的です。

「福祉のみやぞの」とも呼ばれる私達の会社には、普段から車いす乗車の実技指導をしているエキスパートが2名います。
この二人と、ケア輸送士の資格を持つY氏も加わり、講習は実践さながらに進められます。
できるところは自分たちも実際にやりながら、あっという間に予定の時間を超過してしまう、熱のこもった実技勉強会でした。

自分が体験するのも大事

驚いたことに、普段は歩行に杖が欠かせないのに、一人で全部をこなしてしまう身障ドライバーも現れ、乗降場所の状況やお客様の体重など、条件が揃えば本番でも乗車介助が出来そうに思えます。
スロープの設置さえできれば、電動車いすの方は自分で上ることができるので、より可能性は広がりそうなことも分かりました。

その後は、昼食を摂りながらの座談会です。
ここでは、ジャパンタクシーの話題だけでなく、営業のことなど何でも自由に意見を交換します。
未経験で入社された新メンバーから、地理の覚え方について「1日の走行経路と時間が記録される無料のスマホアプリ(Google Maps タイムライン)」があり、これを復習に役立てていると報告がありました。
昔は、運転日報のコピーと地図とをニラメッコしながら復習したものですが、新しい物を便利に使って行く大切さを改めて確認できました。

座談会の時間もあっという間に過ぎ、来月の忘年会の日程が発表されて終会です。
そう、タクシードライバーにとって12月は稼ぎ時! ちょっと早めの忘年会は毎年11月と決まっているのです。

乗降にかかる時間や場所に課題はありますが…

バンクーバーのUDタクシーに乗車している動画です。
他のウェブサイトへの埋め込み再生を所有者さんが停止しているので、本家YouTubeサイトでご視聴下さい。
https://youtu.be/YuiGEnXBNA8

ニューヨークのイエローキャブと一緒の黄色い車体、ステアリングハンドルにトヨタマークが見えていますが、日本では見かけないシエナという車種で、かなり大きなサイズの日本の感覚ではミニとは呼びにくいミニバンです。
現地では30%が車イス対応可能なミニバンタイプで、ホテルから呼べば5分、自宅からでも15分で配車され、後部のスロープから簡単に乗車して、これぞUDタクシーという感じでしょうか。
ちなみに私服姿にポケットに手を突っ込んで降りてくるドライバーも、いかにも西海岸って感じで素敵です。

対する日本のJPN-TAXIがどうかというと、車イスで乗車しようとすると停車場所が広くないとダメだし、操作が複雑で時間もかかるし、ドライバーの不満の高まりだけでなく、実際に車イスのまま乗車するお客様も殆どいらっしゃいません。

でも、JPN-TAXIにも優れた点があります。

カナダのUDタクシーの動画を見て違和感を覚えたのが「車イスユーザーが乗っている位置」です。
同行する男性が会話のために身体をねじって後ろを振り向いている場面がありますが、車イスユーザーの疎外感ったらありません。
四方を壁に囲まれスペアタイヤの横にポツンと押し込められて、荷物扱いを受けている感じがしてしまいます。

対するJPN-TAXIでは車イスユーザーと付き添いが横並びで乗車します。
たぶんトヨタ自動車がやりたかったのは、乗車に手間と時間がかかっても「客室内に乗ってもらいたかった」のではないかと思うし、開発者の粥川チーフエンジニアからもそのような発言があったように記憶しています。

つまり「乗車するとき」と「進行中」のどちら優先するか?! ってことなのでしょうが、年齢・性別・障がいの有無などに関わりなく全ての方に均等に…がユニバーサルの基本となる考え方ですから、理想的なのはJPN-TAXIだと思います。
でも、乗車するときの問題を解決できないと理想だけで終わっちゃいますけどね。

UDマークにも考え方の違いが現れている?

左がニューヨークのUDマークですが「車イスで乗れますよ!」とすぐわかります。
対する右側、日本のは車イスにも見えるしベビーカーにも見える曖昧なマークで、「様々な人に対応できるUDタクシーですよ!」ってことなのでしょうか。
そこまで考えてデザインしたとは思えませんが…

JPN-TAXIを福祉タクシーと考えると、とてつもなく使いにくい悪い評価になってしまいますが、ユニバーサルデザインって車イス乗車も念頭に置きながら、いろいろな方への対応も考えて設計者ければならなず、日本サイズの小さなタクシーで実現するとても難しいことをやっているんですね。

JPN-TAXIの課題の1つが車イス乗降時間

巷では「JPN-TAXIに車イスユーザーが乗車するには20~30分かかる」といわれ、この問題解決に様々な方面からの取り組みがあります。
お盆休み中にYouTubeを見ていて「ジャパンタクシー 車いす乗車5分で出発~スロープ対策~神奈川トヨタ方式」なる動画を見つけました。

  1. スロープを収納袋から取り出し、カラビナを使ってあらかじめ車両側につなぎ、車イス固定ベルトも車両側にSETして置くこと。
  2. 効率の良い導線で、移動距離=時間を短くすること
  3. 両手で出来る作業は一度に両手で行なうこと

生産ラインの無駄を秒単位で省き効率を上げる、トヨタさんらしい発想だと感心しました。が…

腰を屈めてお客様の前を通る導線は、お客様が女性だと嫌がられるだろうな…とか、
腰痛持ちだったら「痛ててっ…」ってなって身動き取れなくなりそうだな…とか考えてしまったのです。

でも、車両の改良を待たずに現行車を使って出来るという点は大いに評価できます。

時間がかかってしまうのは、手順が分からずつまづいて「あれっ!あれっ!!」ってなってしまうことが原因なのを忘れないようにしないといけません。

神奈川トヨタ方式を使わなくても、早い人は5分程度でやってしまう車イス乗車のお手伝いですから、上手く組み合わせると4分も夢じゃないのかもしれませんね。

ところで、この動画シートベルトを通す位置を間違えています。

動画ではアームレストとサイドガード(スカートガード)の間を通していますが、これでは横向きのベルトがお腹を通ってしまい、衝撃が加わったときには腹部圧迫~内臓破裂なんてことにもなりかねません。

車イスの形状はいろいろあるので全てではありませんが、この車イスの場合はサイドガード(スカートガード)の下を通すことで初めて腰骨にベルトが掛かります。
取扱説明書のイラストをUPしておきますので、間違えないように気をつけましょう。


身障JPN-TAXIドライバー発進!

ユニバーサルデザインのJPN-TAXI(ジャパンタクシー)最大の特徴は、車イスユーザーが車イスのまま乗車できることで、外出時に移動手段の選択肢が増えることは歓迎されることです。

JPN-TAXIにスロープから車イス乗車している写真

但しユニバーサルを誤解されがちなのですが、リフトを使って専用スペースに乗車出来る介護タクシーなどのバリアフリー車両と違って、UDタクシーには車イスのまま乗車しようとすると、使い勝手が悪い部分が多いというのは理解しておく必要があります。

車イスのまま乗車するには車内全てのシートを片づけて乗車スペースを作る必要があるし、荷物スペースではなく同乗者(付き添い)と横並びに乗車することを優先したので、横のドアに組み立て式スロープを設置しなくてはならず、横幅が広い場所がなければ乗降出来ないし設置に時間もかかります。

スロープ設置作業の問題はひとまずとして、上り下りは見た目以上に体力が必要なお手伝いで、健常者でも大変なのに身体障害者のタクシードライバーにとって困難なことは想像に容易く、特に体重のあるお客様の場合は腕力と脚力が勝負となる場面です。

新車代替えでJPN-TAXIの担当となる際は、車イス乗車のお手伝いを練習するのですが、ある身障タクシードライバーが7月19日に練習を済ませ、いよいよJPNデビューを果たしました。

この乗務員さんは義足を巧みに操り、全く障がいを意識させないベテランですが、路面と違ってスロープ上は滑りやすいし、車内で車イスの向きを変えるときもカーペットが抵抗になり難しいのですが、健常者と同じ練習カリキュラムをこなして昨日営業を開始しました。

5年もすれば、東京の法人タクシーの殆どがJPNになるでしょうが、身障ドライバーでも本人が「大丈夫」と言っている以上、特別扱いしないのが会社と二種免協会の対応です。

ある乗務員さんは可能でも、障害の状況によっては苦手であったり、対応不可能なこともあるでしょう。
しかし障害者差別解消法が言うところの合理的配慮にてらして考えると、努力や工夫をして出来ることは対応していくという姿勢は今回の事例にズバリ合致すると感じました。