ジャパタク・フォローアップ研修

ジャパンタクシーの車いす乗車拒否問題。テレビでもネットでも取り上げられ、あえてここではあえて言いませんが、タクシー関係者ならもっともな、その根幹にある課題は置き去りにして問題視されています。
東京オリンピック・パラリンピックで海外から大勢のお客様を迎えるにあたり、車いすユーザーにも世界一の東京のタクシーを快適にご利用いただく目標達成には、この車をで営業するタクシー乗務員の「心のバリアフリー」と「介助技術」に頼るところが多いことは明らかですが、2020年はもう目の前ですから解決を急がなくてはなりません。

スロープ設置の確認をしている写真
ジャパタク・フォローアップ研修

先週12月4日、6日に、ジャパタク・車いす乗車フォローアップ研修が行われたので、参加してきました。
6日は8名の参加者が集まり乗車手順の確認が行われましたが、忘れてしまっていた部分もあり、このような機会があれば継続して参加する必要性を思い知らされました。

今回のメンバーのタクシーなら、乗車地降車地に安全な作業スペースが確保できること、多少時間がかかってもお待ちいただけることの2つの条件をのんでいただければ、車いす乗車を拒否することはないでしょう。

と同時に、先ほど根幹に課題があるとした問題が解決すれば、乗車拒否問題は解決に向け加速するはずなのですがね。
この課題には卵と鶏のような側面があるのですが…。

2019年4月にJPN TAXIスロープ改善

ジャパンタクシーによる車いすユーザー乗車拒否問題はひとまず置いておいて、スロープ設置に時間がかかる問題も各所で話題に上ります。

また、スライドドアの動作に時間がかかり、ドアが閉まりきる前に発進して「怖い」とクレームを受けたり、反対に締まるのを待っていると「早く発進しろ」と怒られたり、こちらも難しい対応に迫られます。

これらへの対応がされるという具体的情報は得ていたものの公表してよいものかわからずいましたが、2018年11月22日の朝日新聞に「トヨタJPNタクシー、車いすに優しく 五輪へカイゼン」と記事があったので、ブログでも取り扱ってみます。

2段階の改良

スロープの問題について、トヨタ自動車さんには単に「スロープ設置に時間がかかる」というのではなく、具体的に「2分割のスロープの1枚目を長くすればNo.2のスロープを準備しないで乗車できる場面が増える」とお願いをしてきましたが、スロープ延長で対応いただけることが決まりました。
設置時には横幅がもっと増えてしまう問題はありますが、割り切りは必要だと考えています。
地域によっては「改善になってない(いや改悪だ)、という意見も出るかもしれませんが、全ての希望を取り入れるのは小さなタクシー車両では不可能だと思っています。

なおスロープの改良については2段階あります。
来年4月から納車されるものは、車両との接続方法もかわるので現行のスロープと互換性がありません。
既に納車済みのジャパンタクシーが約8,000両あり、こちらはいわゆる神奈川トヨタ方式を標準として、2枚のスロープをつなぐ安全ピンの部分を操作しやすく改良したものへと交換され、2019年1月に実施されるということです。(すごい経費となるでしょうから、トヨタさんの本気を感じます)

神奈川トヨタ方式
そして、4月からは長さ約1.1m、2つ折りになったスロープが搭載された車両の納車が始まるのです。
ただし「UDタクシーレベル1」の条件(スロープの角度14°)を満たすために、短い2枚目のスロープがあります。

そのほか、病院など車いすユーザーの乗降が多い場所には設置型のスロープが準備される情報もあり、車いすのまま乗車する環境は少しずつ良くなっています。
乗車拒否の問題を改善するのはタクシー業界と乗務員にあるので、しっかりと対応しなくてはいけませんね。

スライドドアのスピードアップについては、後日取り上げたいと思います。

JPNはコンフォートとくらべ

JPNとコンフォートのサイズ比べのイラスト
不許複製(無断転用は絶対にダメ!)

営業所の若手運行管理者がこんなものを作ってくれました。
新世代タクシーであるJPNタクシーと、これまでのタクシーの標準であるクラウンコンフォートのサイズ比較です。

セダン型からジャパンタクシーに乗り換えると随分と運転感覚が違うもので、ぶつけたりしないようにとの心遣いです。
今時、手書きで切り張りとは味がある!
左ミラーがないのはなぜ?

  • 運転席からフロントまでの長さは「35cm」も短くなっています。前方にイメージを置かないと後輪が残ってしまうのです
  • ノーズの高さは「11cm」高くなって前によりにくいかも?
  • 地上高は「3cm」低くなっています。
  • ホイルベースは「7cm」長いです。最小回転半径は「30cm」ほど大回りです。
  • 全長は「19cm」短くなったのにハンドルはキレない!? コンパクトサイズになったので小回りが効くとは限らないのです!
  • 車高は「175cm」、行燈を入れると「2m」 マンション駐車場などは1.9mなんてあるので注意です。
  • ハイブリッドのためNニュートラルだと充電されないので、従者時はPパーキングで!

小さなスイッチにも要望が生まれます

日本だけのおもてなしであるタクシーの自動ドア、これまでのセダンタイプではレバーによる手動式が主流でした。
これは、上に引き上げると開き下げると閉じる、長さがあるレバーのおかげで軽い力で操作できる良くできたものでした。

スライドドアスイッチの写真
JPN TAXI スライドドアスイッチ

今後導入されるジャパンタクシーについては、電動式のスライドドアが標準装備です。
ドアトリムにあるスイッチを、指先で押し下げ続けると開き、引き上げる続けると閉まります。
スイッチ自体が重いことはありませんが、この「続ける」という操作が、手指の力が弱い人にとって負担となります。
下げる時は腕の重さで何とかなるのですが、特に引き上げ続けることが難しいのです。

シーソー式のパワーウインドゥスイッチの写真
シーソー式つまみスイッチ

パワーウインドゥが出始めてからしばらくの間、このスイッチはシーソー式のつまみが採用されていたように記憶しています。
けれども、この構造には誤操作を生じてしまう危険が潜み、腕のヒジなどが触れてしまった時に意図せず閉まるという問題から最悪挟み込み事故となるのです。
現在のスイッチが、閉める時に引き上げる仕様になっているのは、この事故を防ぐためだと考えられます。
スイッチから指を放せば止まるように、AUTO機能が無いのもドア挟み込みという重大事故を防ぐには仕方のないことでしょう。
しかし、障害によって操作が困難な立場とすれば、何とかならないものかと期待します。
シーソー式なら、腕の重さを使ってどちらにも押し続けることができるのです。

自家用車であれば、つまみの代用品を接着剤やビスで付ければ済むのですが、タクシーの場合はいろいろな人が乗務するので、誰が使ってもトラブルとならない改造が求められます。
会社の整備工場でも検討して頂いているので、そのうちに解決策が見つかるかもしれません。

勉強会を開催しました

10月13日(土曜日)に、宮園身障二種免協会主催の勉強会が開催されましました。
テーマは、「JPN TAXIの車イス乗車について」、身体に障害のあるドライバーにとって、一番難しい問題のひとつです。

スロープ乗車の実技で説明を真剣に聞き入るメンバーの写真
乗降時の注意点に聞き入るメンバー

私たち身障タクシードライバーが、車イスユーザーをスロープを押し上げて乗車する介助は、できる人もいる半面、 身体状況により不可能な場合は他のタクシーを手配するしかありません。
しかし、そのような場合でも乗車介助の方法を全く知らないのでは、自分たちの障害を理由に乗車拒否をしていることにもなりかねないと思うのです。
それは私達の本意ではなく、今回の勉強会は車いす乗車の申込があったことを想定して、実技(手順)を学ぶことが今回の勉強会の目的です。

「福祉のみやぞの」とも呼ばれる私達の会社には、普段から車いす乗車の実技指導をしているエキスパートが2名います。
この二人と、ケア輸送士の資格を持つY氏も加わり、講習は実践さながらに進められます。
できるところは自分たちも実際にやりながら、あっという間に予定の時間を超過してしまう、熱のこもった実技勉強会でした。

自分が体験するのも大事

驚いたことに、普段は歩行に杖が欠かせないのに、一人で全部をこなしてしまう身障ドライバーも現れ、乗降場所の状況やお客様の体重など、条件が揃えば本番でも乗車介助が出来そうに思えます。
スロープの設置さえできれば、電動車いすの方は自分で上ることができるので、より可能性は広がりそうなことも分かりました。

その後は、昼食を摂りながらの座談会です。
ここでは、ジャパンタクシーの話題だけでなく、営業のことなど何でも自由に意見を交換します。
未経験で入社された新メンバーから、地理の覚え方について「1日の走行経路と時間が記録される無料のスマホアプリ(Google Maps タイムライン)」があり、これを復習に役立てていると報告がありました。
昔は、運転日報のコピーと地図とをニラメッコしながら復習したものですが、新しい物を便利に使って行く大切さを改めて確認できました。

座談会の時間もあっという間に過ぎ、来月の忘年会の日程が発表されて終会です。
そう、タクシードライバーにとって12月は稼ぎ時! ちょっと早めの忘年会は毎年11月と決まっているのです。

乗降にかかる時間や場所に課題はありますが…

バンクーバーのUDタクシーに乗車している動画です。
他のウェブサイトへの埋め込み再生を所有者さんが停止しているので、本家YouTubeサイトでご視聴下さい。
https://youtu.be/YuiGEnXBNA8

ニューヨークのイエローキャブと一緒の黄色い車体、ステアリングハンドルにトヨタマークが見えていますが、日本では見かけないシエナという車種で、かなり大きなサイズの日本の感覚ではミニとは呼びにくいミニバンです。
現地では30%が車イス対応可能なミニバンタイプで、ホテルから呼べば5分、自宅からでも15分で配車され、後部のスロープから簡単に乗車して、これぞUDタクシーという感じでしょうか。
ちなみに私服姿にポケットに手を突っ込んで降りてくるドライバーも、いかにも西海岸って感じで素敵です。

対する日本のJPN-TAXIがどうかというと、車イスで乗車しようとすると停車場所が広くないとダメだし、操作が複雑で時間もかかるし、ドライバーの不満の高まりだけでなく、実際に車イスのまま乗車するお客様も殆どいらっしゃいません。

でも、JPN-TAXIにも優れた点があります。

カナダのUDタクシーの動画を見て違和感を覚えたのが「車イスユーザーが乗っている位置」です。
同行する男性が会話のために身体をねじって後ろを振り向いている場面がありますが、車イスユーザーの疎外感ったらありません。
四方を壁に囲まれスペアタイヤの横にポツンと押し込められて、荷物扱いを受けている感じがしてしまいます。

対するJPN-TAXIでは車イスユーザーと付き添いが横並びで乗車します。
たぶんトヨタ自動車がやりたかったのは、乗車に手間と時間がかかっても「客室内に乗ってもらいたかった」のではないかと思うし、開発者の粥川チーフエンジニアからもそのような発言があったように記憶しています。

つまり「乗車するとき」と「進行中」のどちら優先するか?! ってことなのでしょうが、年齢・性別・障がいの有無などに関わりなく全ての方に均等に…がユニバーサルの基本となる考え方ですから、理想的なのはJPN-TAXIだと思います。
でも、乗車するときの問題を解決できないと理想だけで終わっちゃいますけどね。

UDマークにも考え方の違いが現れている?

左がニューヨークのUDマークですが「車イスで乗れますよ!」とすぐわかります。
対する右側、日本のは車イスにも見えるしベビーカーにも見える曖昧なマークで、「様々な人に対応できるUDタクシーですよ!」ってことなのでしょうか。
そこまで考えてデザインしたとは思えませんが…

JPN-TAXIを福祉タクシーと考えると、とてつもなく使いにくい悪い評価になってしまいますが、ユニバーサルデザインって車イス乗車も念頭に置きながら、いろいろな方への対応も考えて設計者ければならなず、日本サイズの小さなタクシーで実現するとても難しいことをやっているんですね。

JPN-TAXIの課題の1つが車イス乗降時間

巷では「JPN-TAXIに車イスユーザーが乗車するには20~30分かかる」といわれ、この問題解決に様々な方面からの取り組みがあります。
お盆休み中にYouTubeを見ていて「ジャパンタクシー 車いす乗車5分で出発~スロープ対策~神奈川トヨタ方式」なる動画を見つけました。

  1. スロープを収納袋から取り出し、カラビナを使ってあらかじめ車両側につなぎ、車イス固定ベルトも車両側にSETして置くこと。
  2. 効率の良い導線で、移動距離=時間を短くすること
  3. 両手で出来る作業は一度に両手で行なうこと

生産ラインの無駄を秒単位で省き効率を上げる、トヨタさんらしい発想だと感心しました。が…

腰を屈めてお客様の前を通る導線は、お客様が女性だと嫌がられるだろうな…とか、
腰痛持ちだったら「痛ててっ…」ってなって身動き取れなくなりそうだな…とか考えてしまったのです。

でも、車両の改良を待たずに現行車を使って出来るという点は大いに評価できます。

時間がかかってしまうのは、手順が分からずつまづいて「あれっ!あれっ!!」ってなってしまうことが原因なのを忘れないようにしないといけません。

神奈川トヨタ方式を使わなくても、早い人は5分程度でやってしまう車イス乗車のお手伝いですから、上手く組み合わせると4分も夢じゃないのかもしれませんね。

ところで、この動画シートベルトを通す位置を間違えています。

動画ではアームレストとサイドガード(スカートガード)の間を通していますが、これでは横向きのベルトがお腹を通ってしまい、衝撃が加わったときには腹部圧迫~内臓破裂なんてことにもなりかねません。

車イスの形状はいろいろあるので全てではありませんが、この車イスの場合はサイドガード(スカートガード)の下を通すことで初めて腰骨にベルトが掛かります。
取扱説明書のイラストをUPしておきますので、間違えないように気をつけましょう。


身障JPN-TAXIドライバー発進!

ユニバーサルデザインのJPN-TAXI(ジャパンタクシー)最大の特徴は、車イスユーザーが車イスのまま乗車できることで、外出時に移動手段の選択肢が増えることは歓迎されることです。

JPN-TAXIにスロープから車イス乗車している写真

但しユニバーサルを誤解されがちなのですが、リフトを使って専用スペースに乗車出来る介護タクシーなどのバリアフリー車両と違って、UDタクシーには車イスのまま乗車しようとすると、使い勝手が悪い部分が多いというのは理解しておく必要があります。

車イスのまま乗車するには車内全てのシートを片づけて乗車スペースを作る必要があるし、荷物スペースではなく同乗者(付き添い)と横並びに乗車することを優先したので、横のドアに組み立て式スロープを設置しなくてはならず、横幅が広い場所がなければ乗降出来ないし設置に時間もかかります。

スロープ設置作業の問題はひとまずとして、上り下りは見た目以上に体力が必要なお手伝いで、健常者でも大変なのに身体障害者のタクシードライバーにとって困難なことは想像に容易く、特に体重のあるお客様の場合は腕力と脚力が勝負となる場面です。

新車代替えでJPN-TAXIの担当となる際は、車イス乗車のお手伝いを練習するのですが、ある身障タクシードライバーが7月19日に練習を済ませ、いよいよJPNデビューを果たしました。

この乗務員さんは義足を巧みに操り、全く障がいを意識させないベテランですが、路面と違ってスロープ上は滑りやすいし、車内で車イスの向きを変えるときもカーペットが抵抗になり難しいのですが、健常者と同じ練習カリキュラムをこなして昨日営業を開始しました。

5年もすれば、東京の法人タクシーの殆どがJPNになるでしょうが、身障ドライバーでも本人が「大丈夫」と言っている以上、特別扱いしないのが会社と二種免協会の対応です。

ある乗務員さんは可能でも、障害の状況によっては苦手であったり、対応不可能なこともあるでしょう。
しかし障害者差別解消法が言うところの合理的配慮にてらして考えると、努力や工夫をして出来ることは対応していくという姿勢は今回の事例にズバリ合致すると感じました。